映画「グラスホッパー」がとても面白そうだったので、原作を読んでみました。
内容はサスペンス&コメディ&オフビートだそうですが、ホラー感のある内容だったのでゾクゾク感じながらあっという間に読み切ってしまいました。
これ・・・映画も期待できますよ~。
今回は、原作をもとにあらすじや映画のキャストなどについて書いていますが、ネタバレと独自見解がたっぷり含まれていますのでご注意下さい。
Contents
◆小説「グラスホッパー」あらすじ
小説「グラスホッパー」のあらすじです。
ネタバレと個人的見解がたっぷり含まれていますのでご注意下さい。
(※さらに映画「グラスホッパー」は小説を原作としていますが、設定に違いがあります。)
・鈴木、押し屋を追いかける
ある日の午後、比与子の指示で鈴木は眠った若い男女を車の後ろに積み込みます。
これも仕事の内ー、1ヶ月前に「フロイライン」に契約社員として入社した鈴木は、表向きはまっとうな・・・それでも詐欺に近い販売業でしたが、裏の仕事についても薄々勘付いていました。
2年前ー、妻を亡くした鈴木は、ひき逃げ犯の寺原の父親が経営する「フロイライン」に入社し復讐のチャンスを伺っていたのですが、寺原の会社は裏で薬物や臓器売買を行っていたのです。
しかも、比与子は鈴木が復讐のために入社したことを知っていました。
復讐ではないことを証明するために、車の後ろで眠っている二人を銃で撃つように比与子は鈴木に指示します。
戸惑う鈴木ー。
そして、その様子を見届けるために寺原の息子がやって来ます。
初めて見る犯人の顔でしたが、横断歩道で信号待ちをしていた寺原の息子は、何者かに押されて車道に飛び出し車に魅かれてしまいます。
比与子は、犯人を追うように鈴木に指示を出し、鈴木は大急ぎで犯人を追いかけます。
・鯨と押し屋、10年前の記憶!?
鯨はある一室で、議員の梶に依頼されて秘書に自殺するように促していました。
遺書を書くための便箋を目の前にした秘書と話をする中で、鯨はこういった仕事を15年も続けてきたのだと言います。
鯨の愛読書は「罪と罰」
鯨は、この小説以外の本は読んだことがなく、擦り切れたり破れたりしては買い替えて、今の本で5冊目になると言うのでした。
そして最近、自分が仕事をこなした人物が亡霊となって見えるのだと言います。
全部で32人。梶の秘書で33人目ー。
仕事を終えた鯨の前に、早速、亡霊が一人現れます。
それは2年前に首を吊った男で、その死んだはずの男は人差し指でガラスを叩きます。
すぐ真下はスクランブル交差点で、鯨は車道に飛び出した人影を目撃します。
被害者は寺原の息子で、鯨は別の方向へ進んでいく“押し屋”の姿を見て、10年前の記憶が蘇りますが、それをもう一度頭の中へ押し込めますー。
今まで自殺させた人達の亡霊が、次々に目の前に現れる鯨ー。
ホームレスたちのいる公園で暮らしている鯨は、同じくホームレスの田中に亡霊に憑りつかれていることを見抜かれます。
田中は、夜中にうなされていた鯨を心配して、過去を清算して仕事を辞めればいいと鯨に言います。
仕事を辞めれば亡霊は消える。とー。
しかし鯨は、10年前“押し屋”に仕事を横取りされたことを未だに“やり残した仕事”として気にしていました。
・蝉は殺しの実行犯
蝉の雇い主は岩西という男。
岩西は自分たちのことを小さな業者と評価し、他の殺し屋たちが嫌がる一家殺人や子ども相手の依頼を引き受けて蝉に実行させます。
蝉は女性や子どもも“人”として捉えるので、罪の意識は薄かったのですー。
今回の依頼主はホームレスたちで、仲間に火をつけた復讐のためでした。
火をつけたのは息子で、その父親と母親ー。
蝉はあっという間に仕事をこなします。
そして、蝉のところに梶から仕事の依頼が来ます。
仕事の内容は“鯨”を始末して欲しいと言うことでしたー。
しかし、約束の時間に遅れた蝉が指定されたホテルの一室へ向かうと、中で首を吊った梶が待っていましたー。
・押し屋の槿
槿は、鈴木に後を付けられたまま家に帰ります。
鈴木は、槿の家の前でどうしようかと迷っていると、一人の男の子に声を掛けられます。
「ここ、ぼくの家ー」
槿は妻と二人の子どもが居ました。
家庭教師の営業に来たと言う鈴木を、槿は家の中へあげて話をします。
しかしこの時、槿は鈴木の正体に気づいていたのでしたー。
◆見どころは!?
これはあくまでも個人的見解ですが、グラスホッパーの見どころは、何と言っても鈴木・鯨・蝉が同じ場所で出会うところでしょうか。
そして鯨の前に次々に現れる亡霊たちー。
鯨はさらに、助言してくるホームレス仲間の田中さんさえ亡霊に見えてしまい、現実と幻想の区別がつかなくなってきます。
その中で、田中さんは点滅している信号や踏切の音で幻想の世界へ入り込み、長い長い列車がやってきて現実に戻ることが多いのだと言います。(←ここ重要)
そして、鯨・蝉の他に“スズメバチ”という殺し屋も登場~♪
彼らは自分たちの世界を“この業界”と呼び、またその言葉に違和感を持つのも特徴的ですね。
さらには“劇団”や“拷問”を専門とする集団が存在し、彼らはあらゆるところで活躍します。
そして、鈴木はもちろんですが槿や鯨・蝉も案外いい人だったりします。
恐るべき殺人者や優しい殺人者、そして亡霊たちが繰り広げるコメディと、最後の“大どんでん返し”・・・かなり面白いのでおすすめです。
◆登場人物&映画のキャスト
原作小説を元に登場人物について書いていますが、ネタバレと個人的見解が含まれていますのでご注意下さい。
なお、映画は小説と構成が異なる部分があります。
・鈴木 ・・・生田斗真
鈴木は2年まえに妻を亡くし、その復讐のために「フロイライン」に入社します。
しかし、フロイラインの経営者・寺原や寺原長男に恨みを持つ人が多く、鈴木は復讐を横取りされてしまいます。
その現場を目撃した鈴木は押し屋の槿の後を追いかけますが、槿には妻と二人の子どもがいました。
槿の子供と遊び、夕食を一緒に食べてー。鈴木は槿の家族を守ろうと決心し、槿は窮地に陥った鈴木を助け出します。
そして、その“家族”の正体は・・・。
・鯨 – 浅野忠信
鯨は自殺屋で元々の素質があり、彼と一緒に居ると誰もが生きる気力を失ってしまいます。
梶という政治家の依頼で、秘書に自殺を促しますが、その秘書で33人目。
その33人の亡霊が入れ替わり立ち替わり、鯨の前に姿を見せますが、それは鯨の罪悪感から生まれた幻影でした。
その罪悪感から逃れるために過去の清算を行うことにした鯨ですが、梶は鯨の存在に不安を感じ蝉を雇い命を奪おうとします。
しかし、蝉が遅刻したため、梶自身が自殺をさせることにー。
そして、寺原長男の一件に“押し屋”が絡んでいることを知り、過去に獲物を奪われたことを精算するため“フロイライン”が所有する建物へ足を運び蝉と対面します。
・蝉 – 山田涼介
ナイフを使って仕事をすることを得意とする殺し屋。
・百合子 – 波瑠
小説では妻だが映画では“婚約者”という設定。
鈴木が気が弱いのと違っていつも前向き。
前に進むしかないじゃないと言って、いつも鈴木の背中を押していた。
・すみれ – 麻生久美子
槿の妻。突然訪れた鈴木を快く迎え入れ、手料理を振る舞う。
・比与子 – 菜々緒
悪女。フロイラインに就職してきた鈴木の指導係で、復讐目的ではないと確認するために鈴木を試す。
・槿 – 吉岡秀隆
“押し屋”の仕事をしている。
フロイラインのことをよく思っていないので、鈴木自身が悪人であるかどうか自分で確認し善人であると判断する。
・岩西 – 村上淳
小説では蝉の雇い主。映画では相棒という設定。
殺人依頼を請け負うが、犯行は全て蝉に行わせる。自分は絶対に手を汚さない。
・鯨の父 – 宇崎竜童
亡霊。小説では次々に姿を見せる亡霊が、映画では父親一人という設定なのかもー。
・寺原会長 – 石橋蓮司
フロイラインの会長。
“スズメバチ”の餌食になる。
・寺原Jr – 金児憲史
どんなに悪いことをしても警察に捕まらないため、敵が多い。
◆グラスホッパー 結末は!?
(※ネタバレと個人的見解を含んでいますのでご注意下さい)
寺原長男の死に始まり、押し屋をめぐる騒動のあと、ふと気付くと鈴木は品川駅の構内にいました。
寺原と寺原長男、岩西・鯨・蝉・比与子はこの世を去り、槿の家を探すために根戸沢パークタウンを訪れましたが、鈴木は槿の家を見つけることは出来ませんでした。
復讐を果たせなかった鈴木は、数か月の間アパートに閉じこもっていましたが、たまたま電源を入れたテレビにドックフードにかぶりついている犬たちの食べっぷりに目が覚めます。
「僕も生きないと」
そう思った鈴木は、新宿から少し離れた所にある塾で臨時講師を募集しているのを見つけます。
初出勤の前日、妻と出会ったホテルのバイキングへ行き、妻がそうしていたようにお皿に、無造作に大量の料理を乗せていきます。
それは、とても食べきれる量ではありませんでしたー。
でも、食べきれない量のその料理こそが妻との思い出だったのです。
その日の午後、新幹線で東京に戻って来た鈴木は快速列車に乗るために駅のホームにいました。
すると、向かいのホームに“劇団”のメンバーで槿の息子を演じていた健太郎と孝太郎が居たのですー。
鈴木が手を振ろうとした瞬間、向こう側の線路を列車が通過していき、今度はこちら側の線路を回送電車が通過していきます。
「それにしてもこの列車、長くないか」鈴木は亡き妻にこっそり言いますが、回送電車はまだ通過していますー。
◆感想
幻想の世界から目覚めるとき、長すぎる列車が通過するとホームレスの田中さんは鯨に言っていましたが、グラスホッパーの結末にはドキっとしてしまいました。
鈴木さんが幻想の世界から目が覚めたー??
さて・・・どこからどこまでが幻想の世界なのか、全部なのか一部なのか、でも単に長い列車が通っただけなのかー。
結末が謎に包まれたままなので、読んだあとの余韻がかなり長く残ります。
これ・・・映画を先に見るか小説を先に読むか、本当に悩ましい作品だと思います。
もし何も知らずに先に映画を見たら、消化不良を起こしてしまいそうです(笑)
映画の公開は2015年11月7日、とても楽しみです。